ランデヴー
「式はまだ先になると思うんだけど、来てくれるよね?」


「もちろん、行く! 来るなって言われても行くから!」


前のめりでそうまくしたてる私を、佐和子は少し呆れたように笑って見ていた。





――あれから季節は巡り、4月の始め。



私と佐和子はお花見ができるレストランで、ランチをしていた。


ここはずっと前から目を付けていたお店だが、当然のように毎年ものすごい人気で、去年は予約ができなかった。


今年こそはと意気込んで、予約できた時には2人で喜んだものだ。



「ゆかりもさー、いい加減新しい恋始めなって。こうやってどんどん行き遅れていくんだよ?」


「別に……いいもん。結婚だけがゴールじゃないし、恋愛だけが人生じゃないし……」


「何かゆかりが言っても、いまいち説得力に欠けるんだけど……」


「…………」


佐和子に会うと決まってこの手の話になるのだが、私はまだ恋愛する気持ちにはなれなかった。
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