ランデヴー
フロアに戻ると、陽介はPCに向かって仕事をしていた。
チラッと視線を送りつつ、ホワイトボードの私と倉橋君の名前の横から『B1』という文字を消す。
ふぅと息を吐きながら自分のデスクに向かうと、倉橋君の席に見慣れた美女が座っているのが目に入った。
以前佐和子に教えてもらった、宣伝部の超可愛いと噂の新入社員だ。
倉橋君と同期の彼女は、度々ここへ足を運んでいた。
いちいち「研修の話」やら「同期の飲み会」やら理由を付けてやってくるが、倉橋君に会いたくて来ているのが見え見えだった。
確か、名前は前田 梓と言ったか……。
「何前田、また来てんの?」
私より少し遅れてフロアに入ってきた倉橋君は、彼女の姿を認めると呆れたような声を上げた。
そして「あ、坂下さん、有り難うございます」と綺麗になったホワイトボードを見ながら私に声をかけ、席に居座る前田さんの目の前でシッシッと彼女を追い払う仕草をする。