ランデヴー
「お前仕事しなくていい訳? 俺これからミーティングだし、忙しいんだけど?」


「ごめぇん。すぐ終わるから」と少し甘えたように語尾を伸ばし、ぴょこんと飛び跳ねて立ち上がる前田さんは、可愛い。


鼻にかかる舌っ足らずな話し方が、更に彼女を愛らしく見せた。



間違いなく、新入社員の中では1番の可愛さだろう。


少しキツめの顔立ちだが、まったりとした甘ったるさの漂うアンバランスな感じが、また魅力を感じさせる。



倉橋君も同期と話す時は素になるようで、にこりともしないその話し方は少し乱暴にも聞こえ、若干冷たい印象を与えた。


でも前田さんはそんな倉橋君に動じることなく「今度の同期の集まりなんだけどー」と楽しそうに話し始めた。



彼女が着ている丸襟の半袖シャツが可愛いなーと思いながら、私は次のミーティングの準備をする。


作っておいた資料を持って、フロアの隣にあるミーティングルームへ向かった。



今から始まるのは私が担当する生産指示システムについてのミーティングで、陽介の課も合同で行われる。


時計を見ると、開始時間まではあと15分程だった。


地下の書類が思っていたより早く見つかって良かった。


私の進行で進む為、もう1度資料を見返しておきたかったのだ。
< 51 / 447 >

この作品をシェア

pagetop