ランデヴー
倉橋君が現れてからというもの、私は今まで知らなかった陽介の一面を垣間見ることができ、それを多少なりとも嬉しいと感じていた。


陽介に言うと何を言ってるんだと怒られるだろうけど、嫉妬をしてくれるのは、素直に嬉しい。


私達の間で、そういった感情は無縁だと思っていたから。



陽介の温もりを心地良く思いながら、瞳を閉じて束の間の幸せに浸る。


そろそろ離れた方がいいということは、わかっていた。


でもお互い離れ難く、もう少し、もう少し、と心の中でカウントする。


カチカチと時計の針が鳴り響き、時間だけが少しずつ過ぎていくのが嫌でも感じられ、それが更に切なさを誘った。



ふと、一瞬の後――。


ガチャリ、と。



何の前触れもなく、ドアが開く音がした。



私達は弾かれたように、慌ててお互いから離れる。


と同時に、痛い程に脈打つ心臓。


全身を鼓動が打ち付けるような感覚に、足が震えて嫌な汗が流れた。



慌てて入り口に目を向けると、そこに立っていたのは……倉橋君だった。
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