ランデヴー
倉橋君の視線をひしひしと感じるが、私は彼を見ることができなかった。


目の前のモニターに映し出される数字も、もはや頭の中には全く入ってこず、ただ眺めているだけ。



「何?」


私は震える唇で、そう尋ねる。



見られていたんだろうか。


一瞬だったし、ちゃんとは見えてなかったと思う。


でも、何か雰囲気を感じ取ったのだろうか。



頭の芯が痺れるような感覚に、冷や汗が滲む。


しばしの静寂に、遠くでカタカタとキーボードを叩く音が、やけに迫って聞こえていた。


他部署にもまだちらほらと人が残っている。


じりじりと、沈黙だけが過ぎ去っていった。



「……いえ、何でもないです」


倉橋君は溜息と共に吐き出すようにそう言うと、何故か追及することをやめた。
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