ランデヴー
「ねぇ、何でここに座るの?」


「ダメですか?」


「いや、ダメとかじゃなくて……」


困惑する私を余所に、倉橋君は目の前のカレーにスプーンを突っ込んで口に運ぶ。



確か私がここに来た時、倉橋君は同期らしき人達と固まって食べていたはずだ。


彼はどこにいても一際目を引いたし、集団の中でもその光るオーラは人を惹きつける。


と言うよりも、みんなが噂する方向に倉橋君あり、と言った方が正しいか。



チラリとさっきまで倉橋君がいたテーブルに目をやると、手に持った箸を口に付けたままぼーっとこっちを見つめている前田さんと目が合う。


私はすぐに、くるりと視線を元に戻した。



「やっぱダメ。戻ってくれる?」


あらぬ誤解を受けても困るし、そもそも私はデスクで仕事をしている時を除いて、倉橋君と社内で隣に並ぶことを避けていた。


それはもちろん陽介の目を気にしているということもある、が……目立つのだ。
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