ランデヴー
「彼氏とデート」


この人は何を言い出すんだと思いながらも、私は堂々と嘘を吐く。



でも口にすると、何だか酷く気分が落ち込んだ。


本当はそんなこと、できるはずがないから。


休みの日に堂々と陽介と一緒にいられるのは、彼の奥さんだけだ。


私はせいぜい、恋人と忙しい佐和子の空いた時間に遊んでもらうくらいか。


それ以外は家でのんびりしてるか、買い物に行くか、それくらいだろう。



私はむしろ、夏休みなんてなければいいとすら思っていた。


会社に来れば陽介に会えるのに。


どうして休みなんかあるんだろう。



「どこ行くんですか?」


そんな私の思考の隙間を縫って、倉橋君は尋ねる。


別にどこだっていいじゃん、と思いながら「まだ決めてない」と無難な答えを返した。


もうこの話はやめにしたいと思う私に、倉橋君は容赦なくどうでもいいことを聞いてくる。
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