ランデヴー
「え、何? 離してくれる?」


ちょっとこの状況は困る。


周囲に人が沢山いるのに。


彼は自分の注目度の高さというものを、全く理解していない。



「あの、じゃぁ、座ってもらえますか?」


いや……どうやら理解しているようだ。


これ以上人目に晒されたくなかったら、とりあえず座れ、と。


そう言われている気がした。


彼が離してくれない以上、私は再び座るしかない。



大人しく腰を降ろす私の腕を、素直に放す倉橋君。


本当に何なの……彼の理解不能な行動に、若干のイライラが募る。


でも、そのすぐ後に彼の口から飛び出した言葉に、私は我が耳を疑った。



「あの。夏休み、会えませんか?」


「……はい?」



今、何て言った……? と、心の中で倉橋君の言葉をリピートする。
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