ランデヴー
『夏休み、会えませんか?』



私は口をぽかんと開けて、倉橋君の顔を食い入るように見つめた。


でも倉橋君は至って真面目な顔で私のことを見ていて、その目は真剣そのものだ。


憂いを帯びた綺麗な瞳が、私を映してゆらゆらと揺らめいていた。



本当に、一体何をどうすればそういう発想になるのかわからない。


「彼氏とデート」と言っているのに、そんな提案に頷ける訳がない。


私は大きく吸い込んだ息を吐き出しながら、またすぐに席を立って倉橋君に告げた。



「彼氏とデートするから、無理」


そして、今度こそその場を後にした。



倉橋君が何を考えているのか、本当にわからなかった。


ただ、私を見るあの険しい視線だけが、無性に心の中から消えずに残った。
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