ランデヴー
夏休み中とは言えちらほらと仕事はあるし、トラブルが発生しても困るので、毎年誰か1人は出社しなければならなかった。


そこに佐原さんが夏休みをずらしてとりたいからと、自ら志願して出社していたのだ。



「うん、そう。そうだった」


てへ、と可愛くもなく笑うと、佐原さんはビールをぐびっと飲み干した。


既に顔は赤く、できあがってしまっているようだ。



私はどちらかというとお酒は弱くない方で、飲んでもほろ酔い気分になるくらいだし、顔にもあまり出ない。


たまにはふにゃふにゃに酔っ払って、可愛らしく好きな人にしなだれかかったりしたい所だが、残念ながらたいして酔いもしなければこの場に好きな人もいなかった。



大地さんはかなり強い方で、いつもかなりのハイペースで飲んでいるのに、酔っている姿を見たことがない。


隣に座る倉橋君に目を向けると、彼もまだまだ大丈夫そうだった。


倉橋君とお酒を飲むのは数度目だが、いつも部の飲み会で席も離れていたので、ある意味一緒に飲むのは初めてと言っても過言ではないかもしれない。



「倉橋君、お酒強いの?」


「あー、まぁ……強くもなく弱くもなくってとこですかね?」


「へぇー」


「おいおい坂下、自分で聞いといてその適当な相づちはないだろ。倉橋が傷付くだろ」


私の気のない返事を聞きつけた佐原さんが、ここぞとばかりに絡んでくる。
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