ランデヴー
『それってさぁ、ゆかりに気があるんじゃない?』
気持ちの整理が上手くできずに、結局相談する相手なんて私には佐和子しかいない訳で。
そんな彼女に電話でそう言われ、私はまさかと首を振る。
「それはないよ。倉橋君、別に好きな子いるみたいだし」
『えー、そうなの? じゃぁいいんじゃない? 一緒に行ってきなよ』
そうあっさりと言われ、何だか拍子抜けしてしまった。
佐和子だったらやめとけって言うと思っていたのに。
『だってさ、行きたいんでしょ? でも1人で行くのはイヤなんでしょ? だったら我慢することないよ、むしろ私は行って欲しいって思う』
「え……何で?」
『いや、だってさ、何か可哀相なんだもん』
佐和子の口から、私に対する哀れみの言葉が出てきて、私は一瞬唖然とした。
「ちょ、何それ、どういうこと?」
『え、そのまんまの意味だけど。不倫相手に放置されたままで行きたいイベントにも行けないなんて、何か不憫だなって』