ランデヴー
そして、普段は付けない香水をシュッと一吹き。


香りの効果は絶大だ。


恐らくこんな物をいつも付けていたら、陽介の奥さんには丸わかりになってしまうだろう。



鏡に映る自分を見て、その飾り立てた滑稽な姿に思わず失笑する。


どこからどう見ても、デート仕様の装いだ。


人の目を意識した完璧な出来上がり。



私は何をしているんだろう。


陽介じゃない男の人と会うのに、こんなに着飾って……馬鹿みたい。



鏡の中の自分の顔が、醜く歪む。


視線を落として溜息を1つ吐き、家を出た。
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