にょんさま。



「どうして、ここにいるの?」

 冷静に尋ねた。騒いでどうなるものでもない。忍はこういうところがやけに冷めた性格である。

 不思議生物──にょんは、つぶらな瞳で瞬きした。

(・ω・)「にょにょ?(迷惑?迷惑?)」

「迷惑って…落ち着かないでしょう」

(・ω・)「にょ〜(にょんは平気だょ〜)」

 そっちが平気でも自分が気になるのだ。…といってもおそらくその手の気持ちが通じないタイプである。

 忍はため息をひとつつくと「邪魔しないならいてもいいけど静かにしてね」と伝え、また鏡に向かった。

 にょんは「にょー」と答え、忍のベッドに興味深そうに寄ってきて、感触を楽しむかのようにふかふか遊び始めた。





 そわそわ さかさか

 すすす ぱさ





 しーん…。





 静かになったと思ったら、毛布の上でまるくなって眠っていた。

 猫か子供のようだ。

(猫だと思えば可愛くないこともないかな)

 そんなことを思って、しかしこれはいったい何だろうとも思う。

 にょんに聞いてもまともなことは聞けなそうだし。



     *



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