SWEET HOME
ラメの入ったストッキングを長い爪で伝線させてしまわないよう、慎重につま先を差し入れる。


「あいつ嫁のことめちゃ好きでさ。それを不倫相手のあたしに言うからむかつくよ」


「げ、そりゃイラつくわ」


「でしょ?ずっと我慢してたんだけど、もう限界。もう無理」


背中のファスナーを上げて、カーテンを開けた。


メークの仕上げを終え今は携帯を打ってる沙織の隣へ腰を降ろし、小物をつけていく。


髪は、ここに来る前に美容院へ寄ってやってもらった、これでもかってくらい盛りヘアー。


重たいネックレスをつけたところで大事なことを思い出し、ポーチの中から黄色いカプセルと粉薬を取り出しそれを水で流し込んだ。


うまく飲み込めなくて小さくむせているところにドアが開き、黒スーツの男に呼ばれた。


「美希ちゃん、指名だよ」


「はあい」


返事をした後、外したピアスをハンカチに包んで立ち上がった。

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