SWEET HOME
体を重ねるうちに、馬鹿なあたしはまんまと本気になって…


だけどアイツは相変わらず奥さんに夢中で、SEXしてる間だって何度名前を間違えられたかわからない。


傷ついて、さんざん泣いて、でも別れられなくて、好きで、好きで、好きで―…


そんな時だった。


いつものように出張へ着いて行った先のホテルで飲み過ぎてしまった彼。


ベッドに入るとすぐに、


「真美」


アイツが本当に大切にしている女の名前を呼び、あたしを抱いた。


最初から、奥さんとあたしを間違えていたことなんて今までなかったのに。


戸惑っていたけれど、すぐに溺れた。


優しいキス。


何度も何度も、あたしを喜ばせる指。


耳元で囁かれる甘い声。


隙間なく繋がる、熱い体温。


注ぎ込まれる、彼の愛。


一番幸せで、そして残酷な夜だった。


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