SWEET HOME
長い沈黙の中。


ドアが荒々しくノックされ、あたしはタイムオーバーだとわかった。


「アイツの子を妊娠したとき、聞いたんだ」


あの夜。


初めてアイツがあたしの中に吐き出してくれた夜。


掃き溜めみたいな人生を送っていたあたしは、ようやく小さな幸せを手に入れた。


誰にも祝福されない子。


それでも、あたしだけは愛そうと誓った。


だけど…


「守れなかったけどね」


最後の言葉は、届いたのかわからない。


部屋を出る時、


ハンカチに包んでいたピアスをゴミ箱に捨てた。


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