雨粒のワルツ
「ねぇ、ちょっと、キミ!!!」


後ろから聞こえてくる彼の声にも振り向かずに私は校門まで走った。









はぁ・・・はぁ・・・





って、なんで逃げてるんだろう、私。


ようやく落ち着いてバイオリンをケースにしまいこむと、そっと校門から中を見た。





良かった・・・

追いかけてはきてないみたい・・・






ほっと肩をなでおろし、駅までの道をゆっくりと歩く。








大嫌いだったバイオリン

でも、センパイと一緒に演奏するのは気持ちいいな




ちょっとだけ・・・好きになったかもしれない。









トクントクンといつもよりあったかくなる心を抱えて



その日から少しだけバイオリン教室までの道のりが楽しくなった気がした。
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