アイムホーム
そして、ケータンナーは息子の誕生とともに企業拡大を図った。

それには兄貴も手も借りることになったけど、兄貴は快く承知してくれた。

バー「ケータンナー」はそのままバーとして、店舗だけをリニューアルさせた。

他にハンバーガーショップ、レストランと目的別に食事を選べるように何店舗か小さな店も開いた。

デートでも使えるとなかなか評判もいい。


それに何と言っても、バーは人を雇って経営することになったため

自分たちは夕方自宅へと帰れるようになった。

「おかえり」

玄関のドアを開けると、エプロン姿の芙未香が可愛いキスとともに出迎えてくれる。

「ただいま」

俺は芙未香を軽く抱き寄せてから、海(カイ)の顔を見に子供部屋へと足を運んだ。

「うん、ぐっすり眠ってる」

顔の横にぎゅっと握られた小さな手が愛おしい。

その手のひらに指を握らせると、小さな体から体温が感じられる。




ようやく安心して帰れる場所が出来た。

「ただいま、海」



ずっと海外での一人暮らしが長かった俺にとって

「ただいま」という言葉は正直まだ少しくすぐったい。

でも、言いたいんだ。



俺が安心して帰れる場所をくれた

芙未香と、海・・・お前に
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