アイムホーム
「は、初めまして！八木澤浩也と申します！！」

慌てて畳の上に額をこすりつけるようにしてお辞儀をすると、いきなり大きな笑い声が響いた。


「はははっ・・・浩也くん、そんなに緊張しなくてもいいよ」

「・・・芙未香ったら話してなかったの？」

父親の隣に腰を下ろした母親もなぜか楽しそうに笑っている。

「え？」

顔をあげ、芙未香のほうを見ると、口を押さえて笑いをこらえていた。

「・・・なっ・・芙未香・・・お前」

「まったく。本当に、こんな娘でいいんですか？」

母親が俺の前にお茶を差し出して言った。

以前帰省した時は、確かお見合いの話が出ていたはずだ。

「ごめんね、浩也」

目を白黒させていると、芙未香は舌をぺろっと出して片手を挙げた。

「浩也くん」

俺は父親に声をかけられ、もう一度正面を向いて座りなおした。

「私たちはね、芙未香が幸せならそれでいいと思っているよ」

「・・・ふつつか者の娘ですが、どうぞ末永くよろしくお願いします」

目の前で、芙未香の両親が揃って頭を下げる。

俺も慌てて頭を下げた。

「必ず幸せにします！！こちらこそよろしくお願いします」

芙未香がそんな俺を涙を浮かべて見つめていたことは多分神様だけが知っている。
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