天神学園高等部の奇怪な面々ⅩⅥ
背負った鞄も下ろさず、拓斗はそのまま校庭へ。

夜明け前。

校庭に大開脚してうつ伏せに寝そべり、ストレッチをする男の姿が見えた。

「龍太郎君、おはよう!」

拓斗が高い声で挨拶すると。

「お、今日も来やがったな?」

龍太郎はニッと笑った。

着古して、所々ほつれたクタクタの空手着。

色褪せて年季の入った黒帯。

帯の端には『丹下 龍太郎』と刺繍が入っている。

何年も稽古の度に着用し、洗って、また着用して。

龍太郎の修行の歴史が詰まった空手着だ。

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