琥珀色の誘惑 ―日本編―
「これが、娘の舞でございます。……ほら、挨拶をせんか!」

「え? あ、えっと、いらっしゃいませ」


とりあえず、父の同僚に挨拶するような感じで会釈する。



その時、ソファに座った男性がスッと立ち上がった。


その滑らかな動きに舞はびっくりだ。


(我が家のボロソファが、抗議の声を上げないなんて!)


おまけに、その洗練された動作からは想像もできないほど背が高い!


舞より高い男性はもちろんいるが身近には少ないし、しかも見上げるほど高い男性など皆無だ。


もう一つおまけに、高いだけでなく体格も素晴らしく良い。

ガテン系や格闘家を思わせるものではなくて、何と言えばいいのか……男性的なのだ。

この男性の前では、舞も普通の女に見えるだろう。


(い、いったい、何者っ!?)


とても電気会社のお偉いさんには見えない。

年も二十代? いってても三十代前半だろう。

舞の疑問は増える一方だ。


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