琥珀色の誘惑 ―日本編―
「舞。なぜ、ここにいる?」

「え? あ、あの……」


舞はベッドからゆっくり下りながら、来る前に考えていたことを口にする。 


「ターヒルが呼びに来てくれたの」

「ターヒルだと?」

「あ、でも会った時は、お父さんもお母さんも遼も居たから、ふたりきりとかじゃないから……」

「……ターヒルはお前に何を言った?」



色んなことを教えてくれた。

舞の検査結果が出るまでの間、実は国王陛下が心配でクアルンに戻っていたこと、とか。
その時に、長老たちから『日本人との婚約解消』を強く迫られながら、断わってきたこと、とか。
今回も、『婚約を破棄した』ではなく、『婚約を破棄するかも知れない』と本国に報告してあること、とか。

極めつけは、ミシュアル王子が舞に婚約破棄を告げたあの日から、ほとんど食事を取ってないこと、だろう。


ターヒルは「間違いなく、殿下はマイ様を愛しておられます」と太鼓判を押してくれた。


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