琥珀色の誘惑 ―日本編―
でも舞はそんなことは口にせず、自分の気持ちを告げることにしたのだった。


「あのね……わたし、あなたのことが……アルのことが好きです! この間はあんなふうに泣いちゃったけど。あの時は、アルの“愛している”が信じられなかったから。でも……今度は信じようと思う。言葉とか、考え方とか、上手く伝わってないことはあるけど……どうやったら上手くやって行けるか、ふたりで考えて行きたいって思って」


ブラウスの袖を精一杯引っ張って、痣を見えなくしつつ……。

ミシュアル王子が喜ぶ顔が見たかった。
もし抱き寄せられたら、そのまま押し倒されたとしても、彼の望む通りにしよう。舞はそんなことまで考えていたのだ。


だが、舞が見上げた時、王子は頬を引き攣らせたまま、憎しみの眼差しで見下ろしていた。


「舞。それは残念だ」

「ざ……んねん?」


< 123 / 154 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop