琥珀色の誘惑 ―日本編―
「たった四日で本気の愛は消えないっ!」


舞の乱暴狼藉にSPたちの表情は変わる。

だが、だいぶ慣れてきているのかすぐには動かない。舞は取り押さえられて警察に引き渡されてもいい覚悟で更に怒鳴った。


「婚約破棄って言われてショックだった。それでも、住む世界の違う人だからその方がいいって納得しようとした。でも、時間が経つごとにアルが好きだって思ったわ! 十五年間、写真だけで想い続けてくれた気持ちに応えたいって……それが真実なら、残り六十年の人生を懸けたら判り合えるかもって。本当に好きだったら、残念、の一言で終わらせたりなんかできないっ!」


ミシュアル王子は舞の叫びに、何も応えようとはしなかった。


気づいたら頬を涙が伝っている。

人を好きになって涙もろくなった自分が情けない。

そんなことを考え、舞はグイッと乱暴に涙を拭った。


「――帰ります。さようなら」

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