琥珀色の誘惑 ―日本編―
「私は四日前に愛を口にしたが、それを受け入れなかったのは君だ。残念ながら……私は他の花嫁候補を選ぶことにした」


ひと言ひと言が槍のように舞の胸に突き刺さる。

決死の思いで差し出した愛情を、ミシュアル王子はジャンビーアで切り刻んで返してきた。

舞が、ターヒルの嘘つき、と恨んでも仕方ないだろう。


「あ……そうなんだ……ごめんなさい。わたし、アルが本気で言ってくれたんだって信じちゃってたから……」


舞は俯いたまま、ミシュアル王子の横に転がったボストンバッグを拾い上げた。

このままクアルン王国まで行ってもいい、と思って用意した旅行カバンが酷く間抜けに思える。
トボトボと歩き扉を開けようとした時……。


「何を言う。私は本気であった。私は君の決断に従ったまでで」 


そう言い始めたミシュアル王子に向かって、舞はボストンバッグを投げつけた!


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