琥珀色の誘惑 ―日本編―

――クアルン王国ミシュアル王太子殿下、日本人女性と結婚へ。


の文字が!


「クアルンの教義によりお写真を流すことはできませんが。お父様は公務員で、ごく普通の家庭に育たれた方だそうです。殿下にお似合いの長身で、清楚で大変美しいお嬢さんだと、周囲の方は噂されており――」


(だ、だれのこと?)


モノは言い様とはよく言ったものだ。
一度も聞いたことがない噂が“月瀬舞さん”のこととして、さも当然のように言われている。


舞自身気づかないうちに、両親の横にちょこんと座り込みテレビを見ていた。

すると、次に画面に映ったのはミシュアル王子本人であった。


民族衣装の白いトーブに、彼の逞しい長身の体はスッポリと覆われている。
今日は頭にも白い布……グトラを被っていて、ビターチョコレート思わせる短い髪は全く見えない。
でも、スポットライトを当てられているせいだろう。琥珀色の瞳がいつも以上にキラキラ輝いていた。


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