琥珀色の誘惑 ―日本編―
琥珀に似た透明な輝き持つ瞳が、黄金に煙る。

そして、その瞳以上に、ミシュアル王子の下半身はあからさまな変化を見せていた。


「やっ! やだ」


舞は下腹部に当たる塊の正体に気づき、その瞬間、ようやくミシュアル王子の胸を押しやった。

我ながら、今更、と思う。二、三歩よろけるように後ずさった。


「お前の体に興奮した証だ。私たちは良い夫婦になれそうだ。そうは思わないか? ターヒル」


王子は自らの変化をとくに隠すでもなく……むしろ誇らしげにしている。


「タ、タ、ターヒルって……部屋の中にいたの? ひょっとして見てたわけ? 普通出て行くもんじゃないのっ?」


部屋に入り、顔を見るなり近寄って抱き合ってしまった。

しかも、キスまでしたのはどう考えても行き過ぎで……ターヒルにも予測不可能だったと思う。
そもそも、舞が王子を訪ねた趣旨に反している。


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