琥珀色の誘惑 ―日本編―
冗談じゃない!
後からカレーをやるからとりあえずご飯だけ食べていろ、と言われて、なんで黙って食べなきゃならないのだろう。


「我が国では、男が妻を得る為には、父親に代わりその娘を守らなくてはならない。そして次に、自らが父親となり、子供らを守る強さがなければ駄目なのだ。私はその両方を持っている。娘に求められるのは純潔のみ! ただ、私は王太子であるから後継者たる男子が求められる。お前は先の検査で子供を産むのに支障のない体だと証明された。私たちは結婚しなくてはならないのだ!」


結婚の理由に“子供を産める体だから”なんて。

ここまで必死に会いに来て、自分から「好きになる」とまで言ったのに。

結局、自分は男性に愛される女ではないのだ。


「離して……ください、殿下」

「アルだ」

「いいえっ! シーク・ミシュアル王太子殿下、手を離してください!」

「いいだろう」


舞は腕が自由になった瞬間、今度は足が宙に浮いた!



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