孤独な美少女




つうか、体育祭って何やんだ?



今まではそういう行事はサボってたからよく分からない。


だかろ決めると言われても、何がなんだかさっぱりって訳だ。



近くの奴に聞こうとするも、周りが騒いでいるせいで、俺の声もかき消されてしまう。


あまり喋りたくねえけど仕方ない。




「なあ、」

「えっ!?」




隣のギャルに仕方なく声をかけた。


あたし?と自分に向けて指を差すその女。


だからそうだって。なんて思いながら頷く。




「体育祭って何やんの」

「やったことないの?」

「いつもサボってたから」




そう言うとその女は驚いたように目を丸くした。


そんなに意外だったわけ?


たしかに昨日までダサい格好してたけど。




「走ったり跳んだりするよー」

「………。そう」




な、何だコイツ。全然伝わってないけど!?


たしかに走ったり跳んだりするだろうけど!


俺が聞いてんのはそんなことじゃなくて。



あまりにも言葉を知らないギャルに、俺はため息しか出なかった。


その間にも競技決めは進んでいたらしく…。




「はあっ!?」




ガタン、思いっきりイスから立った。


クラスの奴らの視線が気になるが、今はそんなこと気にしてられない。



おいおい、何で俺がリレーなんだ。




「悪いな!コイツらがお前を推薦したからよ」




悪気なんてまるでない担任の言葉を聞いた俺は、こうなった元凶である“奴ら”を睨んだ。




「ちょお!睨むなや!」

「俺らもリレー出ますから」

「いいじゃん優哉」

「お前、まさか足遅くないよな?」

「……悪いな」




「てめえら、勝手すぎだろ」




全く…俺が足速いか遅いかも分かんないのに決めたのかよ。


実際、測ったことないから分かんないしな。


つか俺、女だし。絶対他の男子のが速いだろ。


しかしそんなこと言えるはずがない。




「測ったことねえ」




俺がそう言った瞬間、琥珀の奴らと担任がピシッと固まった。




「九条、お前中学の記録は覚えてないのか?」

「だから、測ってねえ」

「何でだ!?!?」

「はあ!?何でって言われても。行事とかダルくてサボってたし」




ため息混じりにそう言うと、今度はクラスの男子(不良)が固まった。




「行事をサボるなんて…」

「信じられねえよ…」




ヒソヒソ話し声が聞こえる。


何でそうなる?


お前ら、本当に不良なのか?


こっちのが信じられねえわ。




「…よし、九条!これからタイム測るぞ!」

「…………はい!?」




グランドに行くぞー!なんて張り切ってる担任、そしてそれに笑顔で着いていく野郎達。


女子は興味がないのか教室に留まってるようだ。





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