孤独な美少女




「位置について───、」

「ちょっと待て」

「なんだよ」




「早く走れよ」と言う担任と、それに同調してぶーぶー言ってる魁斗に、そりゃねえだろと心の中で突っ込む。


準備くらいさせろって。







「俺、遅いから。あんま期待すんな」




準備運動を終わらせ、念のためにそう言っておく。


担任の「測るぞ」という声に、スタートラインにつく。



しばらく動いてねえし、体鈍ってんじゃねえかな…。


そんなことを思いながら、俺は担任の合図を待った。




「位置について、よーい」




あー、久しぶりだ。走るんのなんて。




「…バンッ」




ピストルの合図で勢いよく地面を蹴った。


やるからには、本気でやってやるよ。



最初から最後まで飛ばし、ペースを落とさずに走りきってみせた。




元の、男子達がいる方に戻ろうと、体を向けると。




「………」

「……何が、期待すんなだよ」

「断トツ速いじゃねえか!」




固まる奴、ふざけんな!なんて言う奴、なぜか叫んだり喜んだりしてる奴。


なんなんだ、ここの高校。それも不良の。



ふと担任を見やれば、同じようにストップウォッチのタイムを見て固まっている。


てめえもか!大丈夫なのかよこの学校。



そんな心配をしてしまうほどの状況が俺の目に飛び込んできたのだ。




「先生、タイムどうでしたか」




自分的に、蝶華のときより遅くなった気がしたんだけど。


それに女子だし。




「えっと…、このクラスで二番目、だ」

「………嘘だろ、そんなに遅いのか」




やっぱり男子は速いんだな。


どうりで皆固まってたわけだ。


あまりにも遅すぎて───、




「いや、クラスで二番目に“速い”んだよ」

「……は?」




今なんて?二番目に速い?


女なのに、クラスのほとんどに勝ったってことか?


……それはそれで微妙。女としては。




「じゃあ、一番は誰ですか」

「ああ、佐賀野だ」

「……、」




なるほど、やっぱお前か総長さん。


そりゃ運動できねえと総長なんて務まんねえよなあ。


でもまさか俺が他の幹部に勝ったなんてな。


可哀想な奴らだ。



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