この男、偽装カレシにつき
橘センパイは一瞬呆然としたかと思うと、


「…へぇ。
そういうことかよ」


今まで見たことないくらい、冷たい目で私を睨んだ。


そういうことって、どういうこと…?


「むしろ、俊介と映画見れて喜んでたってわけだ」


何言ってんの?
そんなわけないじゃん。
大野センパイは心配してくれただけで、そもそも原因は橘センパイだってのに。


「良かったな。
もともとお前は俊介が好きだったんだから」


何その口ぶり。
誤解してるとは言え、それじゃまるで、私がまた大野センパイを好きになっても構わないって言ってるように聞こえるじゃん。


橘センパイの気持ちはその程度なの?


自分から手を振り払ったクセに、私の胸はセンパイの言葉で簡単にえぐられてしまう。
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