この男、偽装カレシにつき
「そういや、俺のカノジョになったのも、俊介に近付くためだったっけ。
上手く利用されたわけだ」


「そんな…」


きっかけはそうでも、いつの間にか本当にセンパイのことが好きになってたの、知ってるでしょ。


「好きにしろ。
カノジョは解約だ」


センパイはそう言い捨てると、私に背を向けて歩き出す。


「待っ…」


引き止めようにも、大野センパイが手を離してくれないから追いかけられない。


完璧に誤解してる。
このままじゃ、私の気持ちまでなかったことにされちゃう。
そんなの嫌だ。


私がそう思ったと同時に、橘センパイは足を止めて振り返った。


嘘…、通じた…?


なんて思った瞬間、期待は粉々に打ち砕かれた。



「それ、捨てといて。
もう必要ないから」


橘センパイは私の指に嵌まったキラキラ輝くポテコを指差して言うと、二度と振り返ることなく去って行った。
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