My Little Baby【短編】
「じゃあ‥」
祐介の強張っていた顔が喜びに満ちていく。
「でも、私はただ大切にされたいわけじゃないの」
私は、儚げなガラス細工でできてるわけじゃない。
大切にしてもらうために彼氏が欲しいとも思わない。
私は、ただ――
「ただ、好きなだけなの」
固まっていた祐介の顔が、歪んでいくように見えたのは、私の目にたまっていく涙のせいだけじゃないよね。
でも、言わなくちゃ。
私の、気持ち。
涙をこらえるために、きゅっとこぶしを握り締める。
「傍にいたいの。好きになって欲しいの。――好きでいたいの」
いじわるで、いつも私を子ども扱いばっかりで。
でもやさしくて、笑った顔がかわいくて。
「みちる‥‥」
自分の気持ちに気づくのが、遅すぎたけど。
「そう思うのは遼ちゃんだけなの。」
彼の気持ちが私になくても。
ねぇ、遼ちゃん?
みちるは、遼ちゃんが好きなの。
沈黙があたりを包んで、祐介は涙の溜まった目でまっすぐに祐介を見つめる私の視線を受け止めていた。