王子様は囚われ王女に恋をする
救いの手
カイルはブラッドからの知らせを受けると
すぐさま馬をとばして国境へ向かった。

予想外に早く現れたカイルに
いつも冷静なブラッドも目をまるくする。

「あなたは…どれだけ馬を酷使するんですか」

カイルの愛馬はいまにも泡を吹きそうなくらいに
疲れ果てていた。

「まったく。アリシア様のこととなると見境がなくなる」

「うるさい」

ブラッドを一蹴すると、カイルは状況を尋ねた。


「いま、メルディアンの兵士を捕えてきたところです。
アリシア様は城の塔に監禁されているようです」


カイルは城を見上げる。

「あそこか」

城の端にそびえる塔に行くには
渡り廊下を通らなくてはならなかった。

「渡り廊下の入り口には見張りの兵士が2人いるとか。
その兵士たちが交代で食事をとる時がチャンスです」

カイルはブラッドの言葉にうなずいた。
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