王子様は囚われ王女に恋をする
「さあ、帰ろう」

アリシアを馬にのせると
カイルは自分もその後ろに乗った。

「傷ついてしまったな」


アリシアの首の傷を見て、カイルの瞳が揺れた。

「かすり傷ですから」

そう言って微笑むアリシアが愛しくて、カイルはその傷に唇を寄せた。

「あっ…」

アリシアが身をよじる。

「カイル様、ダメ」

カイルの唇が首の傷にそって上に進む。

アリシアを横に向かせると、カイルは唇を重ねた。

「んっ…」

少し離れていただけなのに、狂おしいまでにカイルはアリシアを欲していた。

長いキスに腕の中のアリシアが
力が抜けたようにもたれかかってくるのを感じた。

唇を離すと息も絶え絶えなアリシアがカイルを軽くにらむ。

「もうっ。急にこんな…」

その姿さえ愛しくて、抱き締める。

「続きは帰ってからだ」

そう言うとカイルは城へ向けて出発した。
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