王子様は囚われ王女に恋をする
結婚
カイルがアリシアを連れて城へ戻ると
帰りを聞きつけた王妃がアリシアの部屋まで来ていた。

「アリシア!」

彼女の姿を見るなり、王妃はアリシアを抱きしめる。

「無事でよかった!」

いまでは自分の娘のように接してくれる王妃のぬくもりに
アリシアの瞳からまた涙があふれた。

「王妃様、ご心配をおかけしました」

「無事に帰ってきてくれてよかった。
ケガは…まあっ」

アリシアの首の傷を見て、王妃はカイルをにらむ。

「あなた、アリシアにこんなケガをさせるなんて
一体何をしていたの?!」

「申し訳ありません…」

カイルは王妃の剣幕におとなしく頭を下げた。

「王妃様、カイル様のせいじゃないんです。
だから彼を責めないでください」

アリシアに諭されて、王妃は溜め息をつく。

「傷が治るまで結婚式は延期かしら」

残念そうにつぶやいた王妃に
アリシアは言った。

「いいえ、延期しなくても大丈夫です。
傷は隠せますから」

その言葉に王妃は途端に笑顔になる。

「そう?それじゃ、予定通りに式を挙げましょう!
今日は早く休むのよ。またゆっくり話しましょうね」

王妃はそう言ってもう一度アリシアを優しく抱きしめた。


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