王子様は囚われ王女に恋をする
エメラルドグリーンの瞳から
大粒の涙があふれ出す。

少し目を離したすきに起きた出来事に
カイルは自分への苛立ちが抑えられない。

あのまま、あの男がアリシアに何かしていたら
この場で彼を殺していたかもしれない。

声も立てずに泣く姿がはかなくて
たまらず彼女をソファから抱き上げた。

「カイル王子…っ」

「部屋まで送って行く」

カイルはそのまま広間を後にする。

「歩けますから下ろしてくださいっ」

「ダメだ、王子をつけて呼んだ罰だよ」

適当なことを言いながら
暴れるアリシアを無視してそのまま城の廊下を進む。

「カ…カイル、下ろしてください」

「もう部屋に着くから、大人しくしてろ」

彼女の体を強く抱き寄せると
なぜか急にアリシアがおとなしくなった。

不思議に思って顔をのぞきこむと
アリシアは頬を赤くしてうつむいていた。

「何だ?」

アリシアは隠すように両手で顔を覆った。

「…どうしてですか?」

聞き逃しそうな小さな声でアリシアはつぶやいた。

< 26 / 126 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop