王子様は囚われ王女に恋をする
顔を上げると床に倒れた赤毛の男と
彼を睨みつけているカイルの姿が目に入った。

「カイル…王子」

「カイルだ」

アリシアをチラっと見て律義に呼び方を注意すると
今度は男を見据えた。

「お前は何をしている」

いつもより低くかすれたその声に
男はおびえたようにカイルを見た。

「な…何も…」

「二度とアリシアに近づくな。
今度同じマネをしたら死をもってつぐなってもらうぞ」

カイル王子が氷のように冷たい眼差しで睨みつけると
その言葉に男は真っ青になって硬直した。

「目障りだ、失せろ」

カイル王子の声に弾かれたように男は逃げだした。

男が消えたことで緊張から解かれたアリシアは
黙ったままソファから立ち上がれずにいた。

「アリシア」

カイルはひざまずき
その大きな手で彼女の震える手を包んだ。

「もう大丈夫だ」

手のぬくもりに気がつくと
アリシアの目から涙があふれていた。

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