失恋ショコラ【短】
「あ〜ぁ、溶けてる……。ここ、エアコン効いてるからな」


篠原の綺麗な指先に摘まれた生チョコは、エアコンが発する熱のせいで形が崩れてしまっていた。


「“パヴェ・ド・ショコラ”、ね」


「え?」


「フランス語で“生チョコ”」


小首を傾げたあたしに短く答えた篠原が、それをゆっくりと口に運ぶ。


「苦……。しかも、どんだけリキュール入れてるんだよ……」


「仕方ないじゃないですか……。彼、甘い物が苦手だったんですから」


ビターな物なら食べられるお酒好きな彼の為に、ビターチョコと生クリームに、たっぷりのラム酒を加えたのだ。


< 21 / 77 >

この作品をシェア

pagetop