失恋ショコラ【短】
「あの、先生……」


「ん?」


「どうして、急に新作の話なんて……。あたしが担当になる前から、『先生は自分から新作の話はした事がない』って、先輩が……」


「あぁ、まぁな」


「……じゃあ、どうして?」


不思議に思いながら篠原を見つめていると、彼が柔らかく微笑んだ。


その瞬間に胸の奥が高鳴ったあたしを余所に、篠原は微笑んだまま続けた。


「ヒロインのモデルにしたい女がいるから」


愛おしさを込めた瞳で告げられた答えに、言葉に出来ないような感情がグッと込み上げて来る。


同時に、何故か胸の奥がチクリと痛んだ。


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