失恋ショコラ【短】
「……他にどんな答えを期待されていたんですか?先生の性格の悪さなら、今日の原稿の件で改めて実感している所ですけど」


さっきの原稿の一件を思い出しながら冷たい視線を向けて言うと、篠原が深いため息をついてうなだれた。


「もうイイ……」


その理由はわからないけど、肩を落としている彼の姿に何だか罪悪感が芽生える。


「とりあえず、今日はこれで失礼します」


その気持ちを隠しながら告げて、今度こそ踵を返した。


だけど…


ドアノブに手を掛けた瞬間、あたしの背中にピッタリと引っ付いて来た篠原によって、またしても邪魔をされてしまった。


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