失恋をした君と私の恋



☆沙羅side


―――翌朝。

「沙羅ちゃんおはよー
今日はいつもの3人と
一緒じゃないんだねー」

「うん。」

私はもう学校にいた。
3人に会いたくなかった。
いや…会えなかった。

奈々が好きな涼太は
私を好きだった。

私が好きな敬斗は
奈々が好きだった。

涼太が好きな私は
敬斗が好き。

敬斗が好きな奈々は
涼太が好きだった。

「ははっ……。」

四角関係ってやつ?
嫌だ、もう。
考えるだけで涙が出てくる。

私は教室の机に
うつ伏せていた。

「あっ、奈々おはよー」

クラスメイトが奈々に
声をかけたのが聞こえた。

私は、目を閉じた。

「………沙羅。」

奈々なら来ると思った。
でも今は来て欲しくなかった
私は、目を閉じたまま
奈々の声には答えなかった

「放課後、いつもの場所ね」

奈々はそれを伝えてから
パタパタと去って行った。

私は目を開く。
机にはポタポタと涙。

奈々が嫌いなんじゃない。
悔しいとか妬ましいとか
そんな気持ち全くない。

でも、やっぱり
いつも通りにはいかなかった


「沙羅」

えっー…?

私を読んだのは、この声は
紛れもなく敬斗。

私は奈々の時と同じく、
目を閉じた。

「1人で泣くなよ。来い」

私は伏せて目を閉じている
…なのに敬斗は
そんなのお構いなしに私の
腕を引っ張って教室を出た
階段を上って
着いたのは屋上。

「なに?」
私は冷たく接した。

「少しは宮田の気持ち
考えてやれ?
あいつだって辛いんだよ」

「何それっ…私だって…
辛くないわけじゃないの!
そうやって奈々が
好きだからって…もお嫌…」

涙が溢れた。
敬斗には見られたくなくて
屋上を出ようとした。
でも、走りだしたら
敬斗に腕を掴まれた。

「逃げんなって」

「離してっ!もお嫌だ、
敬斗の顔みたくないっ」

「は?何でだよ、」

こんなに好きなのに…
敬斗が好きなのに。

「私っ、好きなのにっ!」

「あぁ。知ってる。」

え………?知って…る?
何それっ意味分かんない
私の気持ち知ってて
奈々が好きって言ったの?
………諦めろってこと?

ばっ
私は敬斗に掴まれた腕を
思いっきり降って
敬斗の手を離した。
そして、
「最低…」
そう言って屋上を出た。


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