失恋をした君と私の恋



入学式を終えた私達は
ホームルームを行っていた。


ホームルームでは、
自己紹介をしている。


男子から始まった自己紹介は
ある人で止まった。


「えっと…須賀くんは…?」

担任は姿の見えない
生徒の名前を口にして
周りを見渡した。

「入学式の日に遅刻なんて」
呆れた顔の担任。
名簿にチェックを入れて
「じゃあ次の人。」
と言った時だった。


「遅れてすみません!!」


ガラっと勢いよく開いた扉。
急いでいたのか、
だらしなくなっている制服。


私の目にうつったのは
紛れもなく、あの人だった。


片手でスクールバックを持ち
もう片方の手でネクタイを
直しながら席につく男の子

見間違えるはずのない。
あの日、
黄色のあめ玉をくれた君。


「須賀くんね?自己紹介して」

担任が声をかけると
呼ばれた須賀くんは、
「自己紹介?」と疑問気味に
イスを引き立ち上がった。


「須賀 涼太<スガ リョウタ>です。
1年間よろしく 」

適当な自己紹介を済ませ
だるそうに席に着いた

須賀 涼太…。
私はこの人に会いたかった


同じクラスだという奇跡に
感動を覚えずにはいられなかった。



< 4 / 36 >

この作品をシェア

pagetop