主婦だって恋をする
「……成美」
後ろから声をかけられて、びくっと肩を震わせた。
もしかして、見られてた……?
浴衣の乱れを整えておそるおそる振り向くと、困ったような瞳とぶつかった。
「……酔い、覚めた?」
平静を装って聞いてみたけど……
「……今ので台無し」
夫は乱暴に私を布団に押し倒し、唇に吸い付いてきた。
「今日、抱くつもり無かったのに……」
帯を解かれ、浴衣からはだけた私の身体を彼の舌が這う。
慶の顔が一瞬脳裏をかすめて抵抗してみたけれど、夫の身体はびくともしなかった。
「ん……雅、志……」
アルコールとさっきの一人遊びで敏感になっている私の身体は、途中から抗うことを止めて彼の愛撫に身を任せた。
酔った勢いの過ち……
夫婦のセックスなのにそんな言葉が似合う夜だった。