主婦だって恋をする

「……成美」



後ろから声をかけられて、びくっと肩を震わせた。


もしかして、見られてた……?


浴衣の乱れを整えておそるおそる振り向くと、困ったような瞳とぶつかった。



「……酔い、覚めた?」



平静を装って聞いてみたけど……



「……今ので台無し」



夫は乱暴に私を布団に押し倒し、唇に吸い付いてきた。



「今日、抱くつもり無かったのに……」



帯を解かれ、浴衣からはだけた私の身体を彼の舌が這う。


慶の顔が一瞬脳裏をかすめて抵抗してみたけれど、夫の身体はびくともしなかった。



「ん……雅、志……」



アルコールとさっきの一人遊びで敏感になっている私の身体は、途中から抗うことを止めて彼の愛撫に身を任せた。


酔った勢いの過ち……


夫婦のセックスなのにそんな言葉が似合う夜だった。


< 151 / 212 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop