主婦だって恋をする
最後の律動の後、力なく私に体重を預けた慶は肩で息をしながら呟いた。
「成美……ありがと……」
「……なにが?」
「俺を……突き放してくれて」
そう言うと、がばっと体を起こして行為の後始末をし、慶は手際よく服を身につけ始めた。
「成美さんも、早く服着な」
「うん……わかった」
呼び方が元に戻ってる。
それに、すっかり切ない表情は消えていつも通りの慶になっていた。
どうやら、心に折り合いをつけることができたみたいだ。
私たちはホテルを出ると、少しだけ言葉を交わした。
「病院、大騒ぎだよきっと」
「そうね……戻ったら謝らないと」
「一人で、行けるよね?」
「うん、平気よ」
その言葉を最後に、私たちはお互いに反対の方向へと歩き出した。
一度は交わった人生が、再び別の道へと別れていく……