主婦だって恋をする
「俺たちは、映画の主人公じゃない。ここでこうしてることは、俺と成美しか知らない」
そう言って彼女に口づける。
「客観視する必要なんてないよ。俺のこと、好きなんでしょ……?」
ブラウスのボタンを一つずつ外しながら問いかけると、成美は潤んだ瞳で俺を見つめ、頷いた。
「……俺も好き。その気持ちだけでいいじゃん。どうせ、観客は俺たちだけなんだから」
彼女を床に押し倒し、赤みを帯びた耳に唇を寄せた。
「……他人に見せられないこといっぱいしよう?」
今日はバイトはパス……店長、ごめんなさい。
心の中で言い終わると、少しだけ残っていた理性は泡のようにぱちんと弾けて消えた。