純情、恋情、にぶんのいち!


「――脅迫は、こうやってするんだよ」


「……え……いま、なん……」

「なんだ? おまえ、キスもしたことないのか」


――キス。


やっぱり、いまの、キス……だった?


「ひ……ひえ、」

「口止め料としてはおまえには高すぎたか」

「せ、せん……せんせ、せん、」


あまりに急展開すぎて心のジェットコースターの制御が追いつきません。
メンテナンスの時間をいただいてもよろしいですか。

などという冗談をかます余裕はあるはずもなく、先生はそんなわたしの顔を見て、にやりと笑った。


なぜ、この顔に、眼鏡ありのほうの先生がダブって見えるわけ。


「俺らにとって最も恐ろしい脅迫をされちゃ、もうしょうがないからな」


純粋な乙女の気持ちで好きだと伝えたはずなのに、
なぜか勢いあまって脅迫の罪を背負うことになり、

けれどもきっとそのおかげで


「おまえ、ちゃんと覚悟はできてるんだろうな」


わたしは、先生と

もうひとつ重要な秘密を
共有することになってしまったみたいです。










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