Jelly Beans
「まだ間に合うよ。」

モ-リの突然の言葉に

何の事を言っているか分からないあたしは、


「え?何が?」

と返した。

モ-リは、優しいまなざしをあたしに向けて、

「いいところだよな。学生も生き生きしてて、施設も充実してる。

 こっちは9月からだから、試験だけでも受けてみればいいよ。

 ずっと考えてたんだ、何か、勢いで結婚させちゃって、

 いちごの夢かなえられなくさせちゃって、

 でも、いいよ。ちょっと遠回りさせちゃったけど、

 4年ぐらい待つよ。まあ、受かればの話だけどな。」

言い聞かせるように伝えてきた。

「馬鹿。」

あたしはグ-で軽くモ-リのお腹を叩いた。

ポスンと音がして

花の奥がツンとして、背中がひやっとした。

切なくて寂しかった。

「待たなくっていいんだってば、

 全然未練なんかないんだから。

 傍にモ-リがいないなんて駄目なんだから。

 モ-リがいなかった頃の夢なんて、叶わなくてよかったんだから。

 あたしにはもっと違う夢ができたんだから。

 此処にいたら叶わないすっごく大事な夢。」

< 298 / 306 >

この作品をシェア

pagetop