カモフラージュ
突然の
流れるのは優雅なクラシック。

日曜の昼下がり、広い日本庭園に面したホテルのラウンジでは、人々が笑顔で行き交う。

そんな平和な風景を、眉間にこれでもかって位深いシワを刻んで眺めている、この場には不似合いなあたし。

あたしの人指し指はさっきからトントントントン、テーブルを叩きっぱなし。

昨日行ったネイルサロンのお姉ちゃんには悪いけど、先は確実に折れてる。

携帯を開いて時間を確認。

しくじった。見なきゃ良かった。
ますますイライラする。

トントントントントントントントントントントントントントントントン。

テーブルを叩く音はますます大きく、そして早くなる。

向かいに座るあたしの叔母さんは、太った身体を必死に小さくして、申し訳ないって雰囲気を醸し出そうとしているけれど、ムダ。

見えてるし!
全然小さくなってないし!


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