ほんの少しの勇気があれば
もう、逃げたくなかった。
自分の気持ちからも、
そして、理沙からも。
違うかな?
もしかしたら、もう、楽になりたかったのかも。
理沙に懺悔することで、隠し事をなくして楽になりたかっただけなのかもしれない。
「やっと話してくれた。
気付いてたよ。ずっと前から」
そう言って、笑顔を見せてくれた理沙に救われた。
「今年のバレンタインは、大沢くんに渡すんでしょ?」
そう聞かれ、ただ首を横に振ることしかできない私がいるんだ。
なんで?って聞かれたら、答えは一つ。
ただ、今の距離でいられなくなるのがこわいから。